至高のバイク乗り、それを体現できる唯一無二のモッタサイクル。  
   それがドゥカティ・ムルティストラーダ。    
  出会いは10年以上前、阿蘇山に程近い場所でコーヒーブレイクしていたときだった。    
 ダダダダダダダッ!と、いかにも電子噴射チックな音を響かせて、私のすぐ隣に、  
  乗り込んできた1台のツアラーバイク、それがドゥカティ・ムルティストラーダだった。    
 メットを脱ぎ、ニカッと微笑んだ、ビューティフルサンデー、  
 オーナーは立派なカイゼル髭を生やしたオールバックの老紳士だ。    
  「やあ!いい天気ですね。それはあなたのモッタサイクル?ふうん、カワサキの・・・・  
  ああ!ニンジャだね!GPZ900。うん、思い出した。はは、ダサいね!」    
  脳天を無反動ハンマーで思い切り殴られたような気分になった。  
  直後、これまでの全人生をぺしゃんこに踏み潰された、そんな感情が沸き起こった。    
  「それにそのいでたち。革ジャンの上に袖のないGジャンか。何のつもりなんだ?  
   漢を気取っているんではなかろうね?男カワサキ・・・モッタサイクルを1番  
   わかってない輩がそいういうことを言うんだ。本物を知る男が最後に行き着くモッタサイクル。  
   それがドゥカティ・ムルティストラーダなんだよ」       
  10年経ってようやくわかり始めた。昔の愚かな仲間とも縁を切った。    
  SAで通りすがりのあっち側の人間から、    
  「すごいバイクですねえ。100馬力くらいあるのかい?」    
 そう言われる度に、目をつむって伏せ目がちに    
 「はは・・・まあ、そんなところですかねぇ・・・」    
 などという、キザでバカな芝居もやめた。        
  行き着くところムルティストラーダ。至高のモッタサイクル・・・。
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